この記事の要点
- 多くの性格検査には、回答を実際より良く見せようとする傾向を測る指標(ライスケール/社会的望ましさ)が組み込まれています。
- ライスケールが高く出ると、個々の項目の点数ではなく、結果全体の信頼性の見方が変わります。
- 「対策」で点数を操作しようとすると、得られるはずだった情報のほうを失います。
- 正直に答えた結果は、たとえ平均的でも、面接で使える材料になります。
性格検査には「答え方」を見る指標がある
適性検査の性格部分は、質問に対して「あてはまる/あてはまらない」を選んでいく形式が一般的です。ここで多くの人が気にするのが、「正直に答えていいのか、良く見えるように答えるべきか」という点です。
先に結論を書くと、多くの性格検査には、回答を実際より良く見せようとする傾向そのものを測る指標が入っています。ライスケール、あるいは社会的望ましさ尺度と呼ばれるものです。
わたしたちが提供している TekiLens も、この指標を実装しています。企業向けのレポートでは、各尺度のスコアとは別に、回答の信頼性を判断するための情報として扱われます。
ライスケールはどのように働くか
検査ごとに手法は異なりますが、共通しているのは、個々の回答ではなく回答パターン全体を見ているという点です。
見ているのは、大きく2つです。ひとつは、回答の極端さの偏り。もうひとつは、同じ特性を別の角度から尋ねたときに、回答が食い違っていないかという一貫性です。
良く見せようとすると、この2つがどちらも崩れやすくなります。ひとつひとつの回答は嘘とまでは言えなくても、全体として「自分をよく見せる方向に寄せている」というパターンが浮かび上がる、という構造です。
なお、具体的にどの項目がこの判定に使われているかは、検査の妥当性を保つため公開されていません。TekiLens も同様です。項目を見分けて回避しようとするより、正直に答えるほうが確実であり、次に述べるとおり本人にとっても得になります。
「点数が下がる」のではなく「読み方が変わる」
ここが、ネット上の情報でよく誤解されている部分です。
ライスケールが高いことは、多くの場合、そのまま不合格を意味するわけではありません。起きるのは、結果全体をどう読むかが変わるということです。
性格検査の結果は、企業にとっては「この人はどういう場面で力を発揮しやすいか」「面接で何を確認すべきか」を考えるための材料です。ところが回答が良く見せる方向に寄っていると、出てきたスコアが本人の傾向を表しているのか、答え方の癖を表しているのかが区別できなくなります。
つまり、材料として使いにくくなるわけです。企業側から見れば「この結果は参考程度にとどめて、面接で直接確かめよう」という判断になります。せっかく15分なり30分なりをかけて回答したのに、その情報がほとんど使われないまま終わる、という結果になりかねません。
対策すると何を失うか
「対策」という言葉で語られるものの多くは、能力検査(計算や言語の問題)に対するものです。こちらは出題形式に慣れることで解答速度が上がるため、練習に意味があります。
一方、性格検査に対する「対策」は、事情が異なります。
仮に理想的な人物像を推測して、そこに寄せた回答をしたとします。うまくいけば、その企業が求める人物像に近い結果が出るかもしれません。しかし、そこで得られるのは自分についての情報ではなく、自分が推測した理想像についての情報です。
そして入社後に待っているのは、その理想像を演じ続ける日々か、あるいは「思っていた仕事と違った」という感覚です。採用のミスマッチは、企業にとっても損失ですが、時間を失うという意味では本人の損失のほうがはるかに大きいと考えています。
正直に答えた結果は、平均的でも使える
正直に答えた結果、突出した特徴が出てこなかったとしても、それは失敗ではありません。
性格傾向には、そもそも良い悪いがない項目が多くあります。たとえば外向性は、高ければ社交的で行動的、低ければ思慮深く単独作業に向く、という読み方をします。どちらが優れているという性質のものではありません。
大事なのは、出てきた傾向を自分の言葉で説明できるようになることです。「わたしは外向性が低めで、大人数の場より少人数で深く話すほうが力が出ます。前職では〇〇という場面でそれが役に立ちました」と言えるなら、それは面接で通用する材料になります。
逆に、良く見せようとして出した結果は、面接で深掘りされたときに支えるエピソードがありません。結果と語る内容がずれていることは、面接官には案外わかります。
受ける前に整理しておくとよいこと
適性検査を受ける前に、次の3つを短くメモしておくと、回答が安定します。
- 直近数年で、時間を忘れて取り組めた仕事は何か
- 逆に、消耗した仕事は何か。何が原因だったか
- 人と関わる時間と、ひとりで集中する時間の、自分にとって心地よい比率
これは検査の答えを準備するためではありません。回答中に「良く見せたい」という気持ちが出てきたときに、立ち返る基準を持っておくためのものです。
まとめ
- 多くの性格検査にはライスケール(社会的望ましさ)が組み込まれており、良く見せようとする傾向自体が測られています。
- ライスケールが高く出ると、点数が下がるというより、結果全体が「参考程度」として扱われやすくなります。
- 性格検査を「対策」しても、得られるのは自分の情報ではなく推測した理想像の情報です。
- 正直に答えた結果は、平均的であっても、面接で使える材料になります。
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なお、TekiLens Personal は自己理解のためのサービスであり、合否や適性を判定するものではありません。