この記事の要点
- 適性検査の結果だけで合否が決まる運用は、実務上そう多くありません。
- 多くの企業では、面接で何を確認するかを絞り込むために使われます。
- 「点数が低い項目=マイナス」ではなく、「確認が必要な論点」として扱われることがあります。
- 受ける側にとっては、結果が面接の話題を先に教えてくれる、という見方ができます。
結果は「ふるい」ではなく「論点表」として使われることが多い
適性検査を受ける側からは、結果が合否に直結しているように見えます。実際、能力検査に基準点を設けて足切りに使う企業はあります。
ただし、性格検査の部分については、事情が違います。
わたしたちが企業向けに適性検査を設計するときの前提は、「どの点数以上を通すか」ではなく、「この結果から、面接で何を確認すべきか」を示すことです。性格傾向は職務との相性の問題であって、高い低いで優劣がつくものではないからです。
このため、レポートは「合否の判定」ではなく「面接で確認すべき論点」の形で提示しています。これは少なくともわたしたちの設計思想であり、すべての適性検査が同じ設計とは限りません。
「低い」が問題にならない項目がある
性格特性のうち、いくつかは高低に良し悪しがありません。
たとえば外向性。高ければ対人場面で活発、低ければ思慮深く単独作業に向く、という読み方をします。営業職なら高いほうが有利かというと、そう単純でもありません。既存顧客との関係を深く長く維持する仕事では、低めの人が安定して成果を出すことも普通にあります。
開放性も同様です。高ければ新規性や変化を好み、低ければ現実的で安定志向。立ち上げ期の事業なら前者、確立した業務プロセスを精度高く回す仕事なら後者、という具合に、求められる方向が変わります。
チーム志向も、高ければチームで成果を出す志向、低ければ個人で成果を出す志向、というだけのことです。
一方で、多くの職務で高いほうが望ましいとされる項目もあります。勤勉性(計画性・自己統制)、協調性、情緒安定性、主体性、誠実性、達成志向などです。ただしこれらも、低めに出たからといって即座に不利になるわけではなく、「どういう環境なら力が出るか」を確認する材料になります。
企業側が実際に見ている3つの観点
わたしたちが企業向けレポートを設計する際に想定している用途は、おおむね次の3つです。
1. 職務要件との近さ
その職務で成果を出している人の傾向と、応募者の傾向がどの程度近いか。ただしこれは「同じ人を採る」ためではありません。似ていない部分がある場合に、それが強みになるのか、負荷になるのかを面接で確かめるための出発点です。
2. 面接で確認すべき論点
たとえば主体性が高く出ている一方で、チーム志向が低めに出ている人がいたとします。この場合、「ひとりで進める力は強そうだが、チームでの合意形成はどうか」という論点が立ちます。面接では、実際にチームで動いた経験を具体的に聞くことになります。
これは減点のための質問ではありません。その人が力を発揮できる配置を考えるための質問です。
3. 入社後の関わり方
配属先の上司にどう伝えるか、最初の3か月でどんな支援が要りそうか、といった観点です。採用がゴールではなく、定着して成果を出すところまでが目的なので、ここに使う企業は増えています。
受ける側にとっての意味
以上を踏まえると、受ける側にとっての適性検査は、面接の出題範囲を先に教えてくれるものと考えることができます。
自分の結果を見て、高低が極端に出ている項目があれば、そこは面接で触れられる可能性が高い箇所です。あらかじめ、その傾向にまつわる具体的な経験をひとつ思い出しておくと、答えに詰まりません。
たとえば達成志向が高く出ているなら「高い目標を追った経験と、そのときのチームへの影響」。情緒安定性が低めなら「負荷が高い時期に、どう立て直したか」。いずれも、取り繕う必要はなく、実際にあったことを話せば十分です。
結果が手元にない場合
応募先で受けた適性検査の結果は、多くの場合、本人には開示されません。企業が費用を払って取得したデータであり、選考の内部資料として扱われるためです。
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まとめ
- 性格検査の結果は、合否の機械的な判定より、面接で確認する論点を絞る用途で使われることが多くあります。
- 外向性・開放性・チーム志向のように、高低に優劣がない項目があります。
- 極端に出ている項目は面接で触れられやすいので、関連する経験をひとつ用意しておくと安心です。
- 応募先で受けた結果は通常開示されないため、傾向を知りたい場合は本人向けのサービスで先に確認する方法があります。
なお、適性検査の結果は参考情報であり、特定の職業への適否や合否を判定するものではありません。