面接の60分を、何にどれだけ使っているか

面接の60分を、何にどれだけ使っているか
面接の60分を、何にどれだけ使っているか

面接では手応えがあったのに、こちらが連絡する前に辞退の返信が届く。中小企業の採用では、こうした取りこぼしが静かに積み重なります。書類選考も面接も丁寧にやっているつもりなのに、なぜ最後の一歩で選ばれないのでしょうか。

原因が面接官の力量ではなく、60分という時間の使い方にあることは少なくありません。この記事で扱うのは、1回60分の面接を何分ずつに割り振るか、自社の話をどの順番で出すか、最後の5分で候補者に何を渡すか、の3点です。今日の午後の面接から変えられることだけを扱います。

目次

経歴の確認だけで面接が終わっていないか

面接は、企業が候補者を知る場であると同時に、候補者が入社するかどうかを決めるための材料を受け取る場でもあります。前者だけに60分を使うと、候補者は「たくさん聞かれたけれど、この会社のことは何も分からないまま帰った」という状態になります。

株式会社マイナビ「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」によると、内定者数と採用者数の平均から算出した2025年の内定辞退率は15.0%で、2024年の9.3%から5.7ポイント増加しました。従業員数別に見ると、51〜300名の企業が18.9%と最も高くなっています。この規模帯では、内定を出した相手のおよそ5人に1人が入社に至っていない計算です。

同じ調査では、応募者1人あたりの平均面接回数は対面で2.8回、WEB面接で3.0回でした。1回60分としても、候補者と向き合える時間は合計で3時間ほどです。この3時間の使い道が偏れば、候補者は判断材料を持たないまま最終面接に進みます。

まずは現状を測ってください。直近に面接した3人分のメモを開き、候補者からの質問に答えた時間がそれぞれ何分あったかを書き出します。3人とも5分未満なら、見直すべきは面接官の質問力ではなく、時間の割り振りです。

60分を何分ずつに割り振るか

時間配分は事前に決めておかないと、前半に寄りがちです。職務経歴の話題は無限に広げられるうえ、面接官にとっては聞いている時間のほうが心理的に楽だからです。まずは次の割り振りを出発点にしてください。

区分目安時間この時間で果たす役割
進行の共有5分今日の流れと時間の使い方を口頭で伝える
経験を聞く25分職務経歴の確認と、成果が出た条件の深掘り
仕事と会社の説明15分任せる仕事、体制、働き方の実際を伝える
候補者からの質問10分疑問の解消と、関心がどこにあるかの把握
次の案内5分残りの選考工程と連絡の期日を伝える
1回60分の面接における時間配分の出発点

判断基準は単純です。経験を聞く時間が35分を超えたら、その面接は配分が崩れています。机の上にタイマーか腕時計を置き、開始30分の地点で切り上げてください。深掘りしきれなかった点は次回の面接に持ち越すほうが、候補者そのものを失うより安全です。

冒頭の5分では「前半で経験を伺い、後半15分ほどで当社の説明をします。最後に10分、ご質問の時間を取ります」と口に出して伝えます。時間の使い方を共有しておくと、候補者は質問を最後まで温存できます。面接官の側も話を切り上げやすくなり、後半の15分を確保しやすくなります。

自社の話をする順番

15分の説明枠を、会社概要から始めていないでしょうか。設立年、拠点数、売上規模、経営理念。これらは候補者が最後に確認する情報であって、最初に聞きたい情報ではありません。

厚生労働省「令和2年転職者実態調査」(個人調査)では、転職者が現在の勤め先を選んだ理由(3つまでの複数回答)として、「仕事の内容・職種に満足がいくから」が41.0%で最も高く、次いで「自分の技能・能力が活かせるから」が36.0%、「労働条件(賃金以外)がよいから」が26.0%となっています。上位3つはいずれも、会社そのものではなく仕事の中身と働き方に関する項目です。この結果に沿えば、15分で話す順番はおのずと決まります。

  1. 入社後3か月で任せる仕事。誰と組んで、どの案件を、どこまで担当するか
  2. その仕事で候補者の経験のどこが効くか。面接前半で聞いた話を引用して具体的に伝える
  3. 働き方の実際。残業時間の実績値、繁忙期の時期、休みの取り方、リモートの可否
  4. 体制と、その仕事の先にある役割。数年後にどのポジションが視野に入るか
  5. 会社の沿革、規模、理念。最後に短く

説明資料があるなら、1枚目を会社概要から「入社後3か月でやってもらうこと」に差し替えてください。資料がなくても構いません。上の5項目を紙に印刷し、面接官全員が同じ順で話すだけでも、候補者が受け取る情報は変わってきます。なお、繁忙期の残業のように伝えにくい情報をあえて先に出す進め方は別記事で、どの条件を魅力として押し出すかは、また別の記事で扱います。

前半で聞いた経験と、任せる仕事の要件がどこで噛み合うか。この対応づけを面接官の記憶だけに頼ると、担当者によって話す内容が変わります。TekiLens(適レンズ)は、職種ごとに重視する傾向を定義したプロファイルと候補者の特性を照らし合わせ、面接で深掘りすべき点と質問案を検査結果として提示します。面接前に手元へ置く資料としての使い方はサービスページで紹介しています。

面接の最後に渡すもの

最後の5分を「何かご質問はありますか」だけで終えると、候補者は次に何が起きるか分からないまま会社を出ます。この空白の数日間に、他社の選考が進みます。60分の最後の5分は、評価のためではなく引き渡しのための時間です。

  • 次の選考の有無と、そこで会う人の役職と名前
  • 合否連絡の期日。「1週間以内」ではなく「○月○日までに」と日付で伝える
  • 連絡の手段とこちらの連絡先。候補者の側から連絡できる状態にしておく
  • 求人票に書いていない情報を1つ。配属予定チームの人数構成や、直近で入社した人の前職など

質問が出ない候補者もいます。そのときは「何かご質問は」と聞くのをやめてください。「前の職場と比べて、気になっているところはありますか」「今日の説明で、分かりにくかったところはどこですか」と尋ねるほうが、答えやすくなります。懸念は、こうした具体的な問いかけのほうが表に出てきます。

面接中に気になった点の扱いも、あらかじめ決めておきます。反応の速さや、負荷がかかる場面での受け止め方など、判断に迷う点は出てくるものです。これらはその場で不採用の根拠にせず、次の面接で確認する事項として記録に残してください。人の特性は環境によって活き方が変わるため、「合わない」と結論づける前に「どういう体制なら力を出せそうか」を確かめるほうが、採用後の配属検討にも使えます。

運用として定着させるなら、面接記録に確認欄を作るのが早い方法です。「次工程を伝えた」「連絡期日を日付で伝えた」「求人票にない情報を1つ渡した」の3項目にチェックを入れる。それだけで、最後の5分の中身は面接官によらず揃いやすくなります。なお、候補者の特性をどの指標で見るかという検査そのものの選び方は、別記事で解説しています。

よくある質問

面接時間が30分しか取れません。どう配分すればよいですか。

比率は60分と同じ考え方で、経験を聞く13分、自社の説明8分、質問5分、進行と次の案内で4分が目安です。削るなら説明や質問の枠ではなく、深掘りするテーマを1つに絞ってください。説明と質問を削ると、30分でも同じ問題が起きます。

一次面接と二次面接で、自社の説明は分けるべきですか。

分けたほうが効率的です。一次では任せる仕事と働き方の実際、二次では体制と数年後の役割、最終では経営の方針という配分が扱いやすくなります。毎回同じ内容を繰り返すと、候補者は新しい情報を受け取れないまま選考が進みます。

面接官が複数いる場合、自社の説明は誰が担当すべきですか。

配属先の現場責任者が話すほうが具体性が出ます。人事が話す場合は、事前に現場から入社後3か月の業務内容を聞き取っておいてください。役職の高さよりも、日々の業務を自分の言葉で語れるかどうかが説得力を左右します。

オンライン面接でも同じ配分でよいですか。

基本の比率は同じですが、接続確認と挨拶で2〜3分は消えるため、経験を聞く時間をあらかじめ短めに設定しておきます。また画面越しでは沈黙が長く感じられ、候補者が質問を控えがちです。質問の時間に入ったことを、はっきり言葉で区切って伝えてください。

時間配分を変えても辞退が減らない場合、どこを見直せばよいですか。

面接より前の段階に原因がある可能性があります。求人票の記載内容と面接で聞いた話が食い違っていないか、応募から一次面接までの日数が長すぎないかを確認してください。選考工程そのものの組み立て方は別記事で扱います。

参考にした資料

TekiLens(適レンズ)の機能・料金・活用イメージは、サービス資料で詳しくご覧いただけます。採用に関するお悩みは、無料相談で承っています。

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