面接で聞いてはいけない質問の一覧と、言い換え例

面接で聞いてはいけない質問の一覧と、言い換え例
面接で聞いてはいけない質問の一覧と、言い換え例

「ご家族は何をされているんですか」。緊張をほぐそうとして出た一言かもしれません。ただ、これは厚生労働省が採用選考で配慮を求めている事項にあたります。悪気がないときほど口をついて出る。そこが厄介です。

この記事では、厚生労働省が示す「採用選考時に配慮すべき事項」を分類ごとに整理し、会話で出やすいNG例と、代わりに何を確認すればよいかを並べます。聞いてしまったときの扱いと、面接官への周知の進め方もまとめます。

目次

採用選考で配慮が求められる事項

厚生労働省は、公正な採用選考の基本的な考え方として「応募者の基本的人権を尊重すること」「応募者の適性・能力に基づいた基準により行うこと」の2点を挙げています。適性・能力に関係のない事柄の把握は、就職差別につながるおそれのある行為とされています。

配慮が求められる事項は、3つに分けて示されています。(a)本人に責任のない事項の把握、(b)本来自由であるべき事項(思想・信条にかかわること)の把握、(c)採用選考の方法(身元調査などの実施/合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施/本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用)です。個々の質問より、この分け方を覚えるほうが実務で役に立ちます。

判断に迷ったときの基準はひとつで足ります。その質問の答えが変わったら、任せる仕事の内容や条件が変わるか。変わらないのであれば、その質問は選考に必要ありません。

職業安定法第5条の5に基づく指針も押さえておきます。「人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項」「思想及び信条」「労働組合への加入状況」は、原則として収集してはならないとされています。面接で口に出さなくても、応募書類やSNSの調査で集めれば同じです。調査でも、選考過程でSNSアカウントを調査された人は21.8%でした。

本人に責任のない事項に関するNG例

本人が選べなかったこと、努力で変えられないことが、この分類です。出身地、住まいの状況、家族、育った環境。日本労働組合総連合会が2026年5月に発表した「就職差別に関する調査2026」(最近3年以内に採用試験を受けた15〜29歳の男女1,000名が対象)では、面接で「家族に関すること」を質問された人が36.9%、「本籍地や出生地」が35.4%でした。

配慮すべき事項会話で出やすいNG例代わりに確認すること
本籍・出生地に関すること「ご出身はどちらですか」勤務地の条件を先に伝え、その条件で働けるかを聞く
住宅状況に関すること「持ち家ですか」「何部屋のお住まいですか」通勤手段と所要時間の目安だけを確認する
家族に関すること「お父さまのお仕事は」「ご兄弟は何人ですか」勤務可能な曜日と時間帯を本人に確認する
生活環境・家庭環境などに関すること「どんなご家庭で育ちましたか」力を発揮できた職場の状況を本人の言葉で聞く
分類名は厚生労働省「採用選考時に配慮すべき事項」による。

応募書類の側も見直せます。厚生労働省が2021年に示した履歴書様式例は、性別欄を任意記載欄とし、「配偶者」「扶養家族数」「配偶者の扶養義務」「通勤時間」の4欄を設けていません。法的拘束力はありませんが、自社の応募用紙にこの4欄が残っていないかは今日のうちに確認できます。

なお、受け取った応募書類の保管期間と廃棄の決め方については、不採用者の履歴書はいつまで保管すべきかで扱っています。

同じ調査では「戸籍謄(抄)本の提出を求められた」が39.1%で、前回から8.3ポイント上昇しました。本籍を書面で集めれば、面接で聞かなくても同じです。提出書類の一覧も点検します。

本来自由であるべき事項に関するNG例

思想・信条にかかわる事項として、厚生労働省は7つを挙げています。宗教、支持政党、人生観・生活信条など、尊敬する人物、思想、労働組合や学生運動などの社会運動、購読新聞・雑誌・愛読書などに関することです。いずれも把握すること自体が、就職差別につながるおそれがあるとされています。

実務でとくに残りやすいのが「尊敬する人物」と「愛読書」です。長く定番の質問だったため、配慮すべき事項だと認識されにくいのです。前掲の調査でも、面接で「尊敬する人物に関すること」を質問された人が30.2%いる一方、それを聞いてはいけない質問だと思う人は15.8%でした。「宗教に関すること」の48.4%と比べると、差は明らかです。

言い換えは単純です。尊敬する人物は「これまでの仕事で手本にした進め方」に、愛読書は「直近半年で業務のために学んだこと」に置き換えれば、仕事の話のまま深掘りできます。その答えが本人の信条を推し量る材料になるなら聞かない。そう決めておけば、現場でも迷いません。

会話の流れで出やすいNG例と、聞いてしまったときの対応

配慮すべき事項に触れる質問は、意図してではなく会話の流れで出ます。出やすい場面は3つ。冒頭のアイスブレイク(出身地・家族)、勤務条件の確認(結婚・出産の予定に滑る)、逆質問への返しや雑談です。いずれも「間を埋めよう」とした瞬間に起きます。

結婚・出産には男女雇用機会均等法も関わります。同法第5条は、募集及び採用について性別にかかわりなく均等な機会を与えることを事業主に義務づけています。厚生労働省の指針では、採用面接に際して「結婚の予定の有無、子供が生まれた場合の継続就労の希望の有無等一定の事項について女性に対してのみ質問すること」が、禁止される措置の例に挙げられています。調査でも「結婚後や出産後の継続就労希望の有無」が22.7%、「結婚の予定」が19.9%でした。

一方、転勤や所定外労働の可否は、業務上の必要があれば確認して構いません。条件は、全員に同じ聞き方をすることです。前掲の調査で面接での質問として最も多かったのは「転勤ができるかどうか」の41.7%です。この質問自体は配慮すべき事項ではありませんが、性別や年代で聞き分けた瞬間に性質が変わります。

全員に同じ質問と評価基準で臨む面接の組み立て方は、自社への適性を見抜く「構造化面接」設計ガイドにまとめています。

それでも聞いてしまったときは、次の3手順をその日のうちに実行してください。

  1. その場で撤回する。「いまの質問は選考と関係がありませんでした。お答えいただかなくて結構です」と伝える
  2. 評価シートや面接メモに書き残さない。すでに書いていれば削除する
  3. 採否を決める場でその情報を持ち出さない。誰かが持ち出したら止める

面接官への周知と事前の確認

一次面接を現場社員が担当している会社ほど、注意が要ります。人事以外の面接官は雑談の比率が高く、自覚のないまま出身地や家族に触れがちだからです。面接で確認したい点をあらかじめ絞っておけば、間を埋めるための雑談は減ります。TekiLens(適レンズ)は、候補者の特性と職務要件のギャップを可視化し、面接で深掘りしたい点と質問案を示します。

研修を年1回設けるより、面接の前日に確認する仕組みのほうが効きます。配慮すべき事項の一覧を面接官全員に渡し、当日は手元に置いてもらってください。冒頭3分で話すことは、交通・当日の流れ・会社説明の3つに絞ります。複数人で面接するなら「止め役」を1人決め、評価メモは人事が読んで該当する記述がないかを確認します。

社内に責任者を置く仕組みもあります。公正採用選考人権啓発推進員は、事業所内で公正な採用選考の中心的な役割を担う担当者です。東京労働局管内では常時使用する労働者が50人以上の事業所等が対象で、職業紹介事業許可・労働者派遣事業許可を受けている事業所は事業規模を問わないとされています。基準は労働局によって異なるため、所轄の労働局・ハローワークにご確認ください(本記事は公表資料の整理であり、法的助言ではありません)。

面接は応募者にとっても会社を選ぶ場です。答えにくい質問をされた記憶は、辞退や口コミの形で残ります。逆に、聞くべきことだけを丁寧に聞く面接は、それだけで会社の姿勢が伝わります。候補者の特性を踏まえた確認の進め方は中小企業の採用・適性検査ガイドで扱っています。

よくある質問

応募者が自分から家族の話をしてきた場合、面接記録に残してもよいですか。

本人が話した情報でも、適性・能力と関係のない事項を採否の判断に使うことはできません。記録に残すと後の会議で参照されるおそれがあるため、評価シートには書かないほうが安全です。話題を仕事の内容に戻すのも面接官の役割です。

通勤や転居の可否を確認したいときは、どう聞けばよいですか。

住まいの状況ではなく、勤務地の条件を先に伝え、その条件で働けるかを聞きます。「勤務地は◯◯で、将来的に△△への異動の可能性があります」と示せば、住宅状況に踏み込まずに確認できます。全員に同じ聞き方をするのが前提です。

健康状態や持病について聞くのは、すべて禁止ですか。

厚生労働省は、合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施を、配慮すべき事項に挙げています。業務上どうしても必要な確認があるなら、その必要性を社内で説明できるかを先に整理してください。入社後の配慮の要否は、採否を決めたあとに本人と話すほうが適切です。

面接後に応募者から「あの質問は問題では」と指摘されたら、どうすべきですか。

まず事実関係を確認し、該当する質問があったのであれば、その内容を選考に使っていないことを本人に伝えます。次回以降どう改めるかまで説明できると、誠実さが伝わります。迷う場合は、所轄のハローワークや都道府県労働局に相談する方法もあります。

アルバイトやパートの採用面接でも、同じ考え方が必要ですか。

公正な採用選考の基本的な考え方は、雇用形態や採用人数によって変わりません。むしろ短時間の面接ほど雑談で埋めがちなので、確認したいことを決めておくと安全です。面接官が現場の店長や職長になる場合は、事前の一覧配布が効きます。

なお、短時間のパート面接で何を確認するかについては、15分のパート面接で確認するシフトと通勤の条件で扱っています。

参考にした資料

採用実務のご相談は無料で承っています。自社のケースで判断に迷う点があれば、お気軽にお問い合わせください。

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